専攻長挨拶

Welcome

情報基礎数学専攻へようこそ。

 情報科学研究科は、理学研究科、工学研究科、基礎工学研究科に散在していた情報科学に関連する教育研究組織を改組、再編し、2002年4 月、創設された。その際、理学研究科からは、数学専攻に所属する教授5名、准教授5名が参画し、情報基礎数学専攻が誕生した。奇しくも、数学専攻が情報科学研究科に参画することを議論したときの数学専攻長は、私であり、情報基礎数学専攻の専攻名も私の創案である。専攻の名称に「数学」を入れることは必須であり、折しも、従来の数学科が数理学科などに名称変更となる風潮に、私は危機感を覚えていた。専攻の英語名Department of Pure and Applied Mathematics は、松村昭孝名誉教授の妙案である。

 数学の潮流は、1970年代から徐々に、抽象から具象へと移行し、離散数学と呼ばれる分野が台頭し、その後、計算機の発展も追風となり、「離散」と「アルゴリズム」は、現代数学のキーワードとしての市民権を獲得した。情報基礎数学専攻も、「離散」と「アルゴリズム」に関連する探究を基盤とし、高度に抽象化されたレベルでの情報科学と数学のインターフェースを指向し、理学研究科数学専攻と密接な連携を保ちながら研究と教育を遂行している。

情報基礎数学専攻は、次の6講座(5つの専任講座と1つの協力講座)
     ● 組合せ数学講座
     ● 離散幾何学講座
     ● 離散構造学講座
     ● 応用解析学講座
     ● 大規模数理学講座
     ● コンピュータ実験数学講座(協力講座)
から構成されており、教員は、6名の教授と6名の准教授からなる。但し、講座は、あくまでも、組織としての区分であり、情報基礎数学専攻の研究と教育は、もちろん、それぞれの講座が壁を作ることなく円滑に行われていることを申し添える。なお、組合せ数学講座の准教授は、今後、後任を選考する予定である。

 情報基礎数学専攻の博士前期課程の定員は12名、後期課程の定員は5名である。情報基礎数学専攻に所属する大学院生は、情報基礎数学専攻の講義に加え、理学研究科数学専攻の講義も自由に聴講し、単位を取得できる。なお、修士号と博士号は、理学、情報のどちらを選ぶことも可能である。博士前期課程の卒業生の就職は、金融界、産業界、IT界、教育界など、多彩である。

 情報科学研究科のそれぞれの専攻では、毎年、優秀な成績で博士前期課 程を修了した院生の一人に、情報科学研究科賞を授与し、これを表彰している。情報基礎数学専攻では、修士論文発表会におけるプレゼンテーションを重視し、情報科学研究科賞の受賞者を決定している。歴代の情報科学研究科賞の受賞者からのメッセージは、本専攻案内に収録されている。

 博士前期課程修了後、博士後期課程に進学した院生は、一般には、3年間の在学期間の後、学位を取得する。もっとも、期間短縮の制度があり、卓越した業績を持つ院生は、在学期間が12ヶ月を越えれば学位を取得できる。情報基礎数学専攻には、在学期間18ヶ月で学位を取得している院生と在学期間24ヶ月で学位を取得している院生が、それぞれ、一人ずついる。彼らは2名とも、日本数学会賞建部賢弘奨励賞を受賞しているおり、情報基礎数学専攻は、数学の研究の発展に尽力する多才な人材を輩出していると言えよう。彼らの近況報告なども、本専攻案内に収録されている。

 博士後期課程に進学し、学位を取得しても、直ちに大学のパーマネントの研究職に就くことはきわめて稀である。学位取得者は、日本学術振興会の特別研究員、外部資金の特任助教など、いわゆるポスドクに採用されることが、パーマネントの研究職に就くための準備段階である。ポスドクの雇用期間は3年から5年であり、その間、業績を積み、パーマネントの研究職の公募に応募するのである。情報基礎数学専攻では、学位取得後、一年間、高校の常勤講師を勤め、その後、ポスドクに採用され、2年間のポスドク生活の後、パーマネントの研究職に就いた例もある。一般論として言えることは、数学にひたむきな情熱をもち、不断の努力を忘れず、研究に精進することができれば、研究者としての人生を切り開くことは可能である。

 情報基礎数学専攻に所属する教員の研究内容などの詳細は、それぞれの教員のページに譲るが、専攻で研究されている主な研究分野は

計算可換代数 グレブナー基底 凸多面体論
代数的組合せ論 表現論 リー群論
位相幾何学 低次元トポロジー 結び目理論
クライン群 可視化 バイオイメージング
非線形偏微分方程式論 数値解析 構造保存数値解法の開発
退化放物型方程式 移流拡散方程式系 数理生物モデル
力学系 大自由度力学系 離散変分計算
複素積分と表現論 多変数特殊函数論
複素解析的微分方程式 数理物理 保型形式
モジュラー微分方程式 共形場理論

などである。

 情報基礎数学専攻の前期課程の入学試験は、例年、7月下旬に実施されます。数学の筆記試験の過去問は情報基礎数学専攻のホームページに掲載してあります。口頭試問の典型的な例も載っていますから、入試対策の参考にしてください。英語の入試問題は、著作権の関係から、ホームページに掲載することは許されないのですが、受験生は、いつでも閲覧できますから、必要ならば、専攻長宛、メールで問い合わせをしてください。専攻長のメールアドレスもホームページに掲載されています。

 情報基礎数学専攻への入学を考える学生の皆さんにとって、本専攻案内がいささかなりとも有益であることを願うとともに、学生の皆さんと一緒に数学の研究をすることができるのを心より楽しみにしております。

大阪大学大学院情報科学研究科
情報基礎数学専攻長
日比孝之

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